日照権の問題で、特に商業地域は難しい。日照権に関する法律がないから。現在は判例を基に判断するしかありません。その判例もなかなか住民サイドに立ったものは殆どないのが現状です。いくら商業地域とは言ってもマンションが立ち並んで、人間がたくさん住んでいるわけで、その人達に日照は必要ないと言っているようなものではないでしょうか。
日照権と用途地域
現在の用途地域は実態とかけ離れたところが多数存在すると思います。昔設定されたわけで、当然年月が過ぎればその地域の実情が変わってくることは必然であります。商業地域とされていたところが、景気が悪くなり商店が店を閉め、そこに立地面からの優位性で大手デベロッパーが高層マンションを建てることは当然だと思います。そうするとそこはもう繁華街ではなく、住宅地域に変貌しているのです。言うまでもなく人は生きていくために太陽の光が必要です。しかし商業地域という理由だけで、その場所は日当たりにかかる法的保護が一切ないのです。それならば用途地域を変更すればと言っても、長い年月商業地域としての既得権が存在していて、簡単には変更はできないことも事実です。であるならば少なくとも商業地域と言えど、マンションなどの人が住む場所にはそれなりの法的保護があってしかるべきと思います。しかし現在は全くその法規制がなく判例に頼っている状況です。裁判所も政治にそった判決を出す傾向があり、大手建設会社の意向にそった判決が殆どで、これは嘆かわしいことです。
日照権の本質
商業地域以外で日影規制が成立した当時、政府委員は商業地域にその規制をかけなかったことについて、次のように述べています。第77国会衆議院建設委員会議事録第10号、76.05.21、p4からの抜粋
商業地域におきましても住宅が現に存在しております。日照が全く不必要であるというふうには思っておりません。しかし、都市計画の趣旨に照らして見れば、公法上の規制の対象ということではなくて、個々具体的は相隣関係の問題として解決すべき問題であると考えております。
このように述べて、今後の判例の積み重ね等が行われてから、法規制については考えると言っております。その意味でも一日も早く商業地域に住まわれる人達が少しでも人間的生活環境を取り戻せるようになって欲しいと思います。
日照権のまとめ
日照権は商業地域では認められないのか?どこにある住まいでも人が生きていくために太陽の光は必要です。商業地域という理由だけで、どんなに実態とかけ離れていても日照権が認められません。日照権の本質が相隣関係であると言うならば、商業地域であろうと認めるべきと思います。