よくコミニケーションが大事ということをいろんな場面で聞きます。ここでいうコミニケーションとは話し合うようなイメージのことです。しかしコーチングでコミニケーションとはまず「聞く」ことを意味します。聞くことの大切さもいろんな場面で言われます。しかしコーチングでは単に聞くということではなく聞き方についての原則があります。その原則を意識しながら聞くことによって、子供を落ち着かせるとともに、次のステップへ進みやすくなります。
コーチングの「聞く」
親は子供の「話を聞いた」という行為と子供が「話を聞いてもらった」という行為の違いを認識しないといけません。コーチングでは子供が「聞いてもらった」という気持ちになる行為をすることが「聞く」という行為であり、子供がどう受け取ったかが大切なのです。そしてもう一つ親が認識すべきことがあります。子供から返ってきたコミュニケーションは、親が子供に伝えたコミュニケーションの結果であるということです。つまり子供からの反応はすべて親が引き起こしたものという立場を忘れないことが大切です。ですから親が子供の話を聞くときの姿勢として次のようなことは避けないといけません。
- 子供が話す前にあれこれ予測すること。
- 最悪の結果を考えて準備してしまうこと。
- 保護が必要な弱い子供であることを忘れてしまうこと。
- 大人の価値基準で物事を判断してしまうこと。
そして何よりも大事なこととして、親が子供を無条件に信じる心で聞いてあげることです。コーチングテクニックにはありませんが、親が子供とのコミュニケーションを取っていく上での大前提であり、いつ何時もこの大原則は守らないといけません。親が子供を絶対的に信じて行動すれば、意識しなくても上の4項目はクリアーできてしまうものだと思います。
「聞く」という行為は「最初から最後まで聞く」、そして「相手の言わんとしていることをそのとおりに理解しようとする」、そして「それだけで完了する」ことがわかります。つまり「最初から最後まで聞く」には、「そのとおりに理解しようとする」には、自分のやっていることをやめて、自分の予測を脇に置いて、自分の価値判断をいったん手放して、そのことに耳を開くことをしなければなりません。そして聞いてからどうするか。そのあとどういうことを言えばいいのか。などという疑問が当然湧いて来ると思います。一つのコミニケーションで子供の言うことを理解して、解決のために何かしないといけないと考えると思います。しかししっかり聞けると、そのあとのことは自然に進み始めたりするものです。ですから以上のようなコーチングの「聞く」ことを実践できれば、子供が満足して次に進んだり、進まないまでも次の投げかけをしてくるものです。親としては聞いてあげることで完結しており、次の段階が自然にやってくるので、聞いてからどうするという親のあらぬ心配はしないでもよさそうです。
コーチングの「見る」
「エンジェル・アイ(天使の目)」という言葉があります。これは、コーチや組織のリーダーがクライアントや部下の話を聞くときの一つのモデルとなるような眼差しを表す言葉です。エンジェル・アイ(天使の目)は子供を無条件で受け入れる、そう決めている親の「目」の表情です。親子に限らず気の合った相手あるいは尊敬する相手、相性の合う相手など社会でもエンジェル・アイ(天使の目)の表情をすることもあると思います。親にエンジェル・アイ(天使の目)で見てもらっている子供はいつも落ち着いて安定しています。やはり親が子供を無条件に信じる心を持っていれば自然にエンジェル・アイ(天使の目)の表情になると思います。ですから聞くときも見るときも基本は親が子供を絶対的に信じることが最も大切です。親が子供を絶対的に信じるということがどういうことかは別のブログで書いてありますので参照ください。親が子供を絶対的に無条件に信じることができるかについて不安だったり、どうしても条件付きで子供を信じることが多いかと思います。しかし不思議なもので意識して絶対的に無条件に信じることを実践していると、いずれ意識していなくても自然と子供を絶対的に無条件に信じられるようになりますから心配無用のようです。
そして親自身が自分にも「エンジェル・アイ(天使の目)」を向けることも大切だと思います。子供のことになるとどうしても親は自分を責めて、私がこうしてやればよかったのにと考えがちです。親としての反省は繰り返さないためにも必要ではあります。しかし親としてダメな自分を許してあげて、自分を信じてエンジェル・アイ(天使の目)で自分を見てあげることも必要です。親も人間ですから厳しい目ばかりで自分を見ているとどんどんすり減っていってしまいます。子供もそんな親を見たくないし、逆に子供も自分のせいで親が落ち込んでいるとわかると決して子供にいい影響を与えません。親が自分を自分の敵に回さないように、自分も自分で守るということも必要です。
コーチングの「ペーシング」
コーチングでは「ペーシング」というスキルがあります。ペーシングのスペルはpacing、直訳すると「相手とペースを合わせる」という意味です。ペーシングとは、子供の言うことや気持ちを受けとめることです。もしそれが親にとって都合の悪いものであったとしても、できるだけの忍耐と思いやりを動員してしっかり受けとめるスキルです。例えば子供が「いやだ」とか「こわいよ」などと言ったときに、「そうだよねいやだよね」とか「そうだよねこわいよね」と子供の表現した気持ちを聞いていた親がその言葉を繰り返すと子供と同じ気持ちを実感してくれていることがわかってと落ち着くのです。しかし子供が言い終わるか終わらないかのうちに否定されたり、正論を言われたりしたら、瞬時にその気持ちを押し殺したりしても、それは減ったりなくなったりすることはありません。でも親が「そうか、そういう気持ちなんだね」と子供の気持ちをそのまま同じように感じて理解してくれたらどんなに救われるでしょう。コーチングのスキルとしての「ペーシング」はコミニケーション技法としてよく聞く「共感」に通じるものであります。
ただペーシングはどんな行為にも賛成する太鼓持ちのスキルではありません。あくまで焦点は子供の気持ちです。子供がまさにそう思っている、その思いや気持ちを受けとめるスキルです。子供の気持ちをしっかりと受けとめたあとでなら、親としての意見を伝えるなり、どうしてそんなふうに思ったのか聞いてみたり、正論をちょっと言ってみたりできるようになります。そんな風に関わっても大丈夫なゆとりが子供に生まれているからです。またペーシングには、子供の気持ちを繰り返す「言葉」のよるペーシング以外に、子供の大切にしている世界や価値観を親も大切にするという「あり方」のペーシングがあります。子供のこだわりの土俵に親自ら下りていく、子供のこだわりをばかにしないでいっしょに解決に取り組んでいくあり方もまさにペーシングです。
コーチングの子供を受けとめるスキルまとめ
コーチングで親が子供を受けとめるスキルに「聞く」「見る」「ペーシング」があります。聞くは子供が聞いてもらったという気持ちになる行為。見るは子供を無条件で受け入れるエンジェル・アイ(天使の目)。ペーシングは子供の言うことや気持ちを受けとめることです。
*この記事はいろいろな情報を検討し、あくまで主観で書いていますことをご了解願います。
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