オーストラリア大学の研究グループが発表した過敏性腸症候群の食事療法であるFODMAP(フォドマップ)が注目されています。FODMAPとは4つの糖質を表す言葉で、「F=発酵性の」「O=オリゴ糖」「D=二糖類」「M=単糖類」And「P=ポリオール」を指しています。これらの糖質は腸で吸収されにくく、人によってはこれらの糖質を多く含む食品をとると、お腹の不調が起こるという話です。O=オリゴ糖はパンや麺などの小麦食品と豆類、Dの二糖類は牛乳やヨーグルトなどの乳製品、Mの単糖類はフルーツやはちみつ、Pのポリオールはガムなどに含まれているキシリトールといった糖質などです。このような糖質を多く含んだ食品を「高FODMAP食品」と呼ばれ、FODMAPを避けた「低FODMAP食事法」は、いまや欧米の大学病院ではこの食事法がさかんに取り入れられており、科学的な根拠がはっきりした、もっとも安全かつ有効性の高い食事法として認識されているようです。
過敏性腸症候群の方が食べてもいい低FODMAPの食品と食べてはいけない高FODMAPの食品の一覧を記載した記事があります。これとは別に消化のいい食べ物と悪い食べ物という考え方もあります。低FODMAPでかつ消化も良ければ言うことなしだと思います。ですからFODMAPと消化の二つの観点から食品を見て行こうと思います。
過敏性腸症候群のFODMAPと消化
食べたものは消化吸収のために胃に送られます。胃は消化のために活発に動きますが、消化にかかる時間が長ければ胃に負担になってしまいます。「消化の良い・悪い」とは、胃にとどまる時間の長さで判別しているのです。この時間を決定づけるのは脂肪と食物繊維です。これら2つの成分が少ないと消化がよくなり、多く含まれていると消化が悪くなります。消化の良い食品は、ご飯や麺類のような、主食になる炭水化物です。続いて、豆腐や卵、魚介類のような、脂肪と食物繊維の両方の量が少ない食品です。一方、消化の悪い食品は、油やバターといった脂肪だらけの油脂類、きのこや海草類、ごぼうやれんこんといった根菜類のような、食物繊維の豊富な食品です。天ぷらなど揚げ物や脂っこい料理、きんぴらごぼうのような固いかみ応えのある料理は、消化が悪いと言えます。食物繊維は、しっかりと柔らかくなるまで加熱したり、ハンディタイプの棒状のミキサーを使用して、刻み食や流動食にすることで消化がよくなっていきます。
消化の良い食品
- 穀類:白飯・粥・パン・うどん
- 芋類:じゃがいも・里芋
- 豆類:豆腐・高野豆腐・みそ・豆乳
- 卵:半熟卵・茶碗蒸し・卵豆腐
- 乳製品:牛乳・ヨーグルト・チーズ
- 魚介類:白身魚(タラ・カレイ・タイ・ヒラメ)・はんぺん・カキ
- 肉類:鶏ささみ・脂の少ない赤身肉
- 野菜類:柔らかく食物繊維の少ないもの(ほうれん草・カブ・大根・キャベツ・人参・南瓜・カボチャ・カリフラワ-・ブロッコリー)
- 果物:リンゴ・バナナ・桃
- 油脂類:サラダ油・マヨネーズ・バター
- 菓子類:プリン・ゼリー・ボーロ・ウエハース
- 飲み物:湯冷まし・麦茶
消化の悪い食品
- 穀類:玄米・ラーメン・そば
- 芋類:さつま芋・コンニャク
- 豆類:納豆・がんもどき・厚揚げ・油揚げ・おから
- 卵:固ゆで卵・目玉焼き・生卵
- 乳製品:生クリーム
- 魚介類:イワシ・サバ・サンマ・イカ・タコ・鰻・干物・カキ以外の貝類・かまぼこ
- 肉類:脂の多い肉・加工品(ハム・ソーセージ)
- 野菜類:固いもの、繊維の多いもの(オクラ・竹の子・ネギ・キノコ・レンコン・ゴボウ・セロリ)・海草・漬物
- 果物:柑橘類・梨・イチゴ・スイカ・柿・プル-ン・キウイフルーツ・パイナップル・アボガド・イチジク
- 油脂類:揚げ物・天ぷら
- 菓子類:ケーキ類・せんべい・ナッツ類
- 飲み物:オレンジジュース・ココア・炭酸飲料・紅茶・コーヒー
消化が良くても過敏性腸症候群で腹痛に見舞われる場合があります。ですから低FODMAPでかつ消化の良い食品をピックアップして、本当に安心できる食品は何かを明確にしておきたいと思います。
低FODMAPかつ消化の良い食品
- 穀類:白飯
- 芋類:じゃがいも
- 豆類:木綿豆腐・豆乳・みそ
- 卵:半熟卵・茶碗蒸し・卵豆腐
- 乳製品:チェダーチーズ・ゴーダチーズ・パルメザンチーズ・モッツァレラチーズ・カマンベールチーズ・ゴルゴンゾーラチーズ
- 魚介類:白身魚(タラ・カレイ・タイ・ヒラメ)・はんぺん・カキ
- 肉類:鶏ささみ・脂の少ない赤身肉
- 野菜類:ほうれん草・大根・キャベツ・人参・南瓜・カボチャ・ブロッコリー
- 果物:バナナ
- 油脂類:マヨネーズ・バター
- 飲み物:湯冷まし・麦茶
*この記事は主観によって書いていますので、内容については確認ください。
過敏性腸症候群のFODMAPと消化まとめ
過敏性腸症候群の食事療法であるFODMAP(フォドマップ)が注目されています。「消化の良い・悪い」とは、胃にとどまる時間の長さで判別しているのです。低FODMAPでかつ消化の良い過敏性腸症候群に本当に安心できる食品をピックアップしました。
過敏性腸症候群の他の記事