安全な断熱材で木質繊維は廃材を再利用した人にやさしい多機能の建材

断熱材はグラスウールやポリエチレン系が使われるのが一般的です。しかし、結露対策をしていない建物で、内部結露している壁にグラスウールやロックウールなど繊維系の断熱材を使った場合、断熱材が水分を吸い込んでビショビショになり、腐朽菌が繁殖したり、シロアリの被害の危険性を高めることがあります。リサイクル素材として古紙を使ったセルロースの断熱材も出ていますが、難燃剤が含まれているため、室内に揮発してくるとアレルギーを引き起こす可能性があります。使用する場所に注意し、密閉して施工するなどの配慮が必要です。安全な断熱材としては、炭化発砲コルク系、ウール(羊毛)、発砲ポリエチレン系、杉などの柔らかい木材、粗壁用の土や粘土と空気層がおすすめです。



 

軽量軟質木質繊維の断熱材

軽量軟質木質繊維ボード(木質繊維系断熱材)はチップ材・材木製材時の廃材・間伐材などを細かく繊維状に砕いたものに、接着剤・防蟻材・難燃剤を加えてボード状に加工成型したものです。ボード状の形状なので耐力面材の在来工法、2X4工法、外断熱に適合する断熱材です。断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い)0.045W/mK。断熱材を加工しても繊維が細かく飛散しない(木屑のようなものが散る)。保湿性があり湿気を吸っても断熱性能は落ちにくい。接着剤には澱粉質の自然素材を使っており、この澱粉質特性で難燃性能があります。建物解体時には焼却または土中埋め立てで処理できます。ただ輸入品は国内在庫が少なくて多少入手しにくく、国内生産品もまだ商流が安定していません。そのため価格が高い高級材でもあります。ここで軽量軟質木質繊維の断熱材のフォレストボードとパヴァテックスを紹介したいと思います。

フォレストボード

国産品ではフォレストボードが代表的です。杉の皮を固めたフォレストボードは廃材扱いであった杉の皮を再利用したもので資源の循環を意識した自然素材系断熱材です。原材料は杉樹皮、バージンパルプ、コーンスターチ(トウモロコシ原料の糊)となっているので、化学物質に過敏な方にはお勧めできると思います。また、自然素材系ですので建物解体時にも土に還る環境負荷の少ない断熱材です。断熱性能としては同じ厚みではウールやセルロース、ウッドファイバー、コルクにはかないませんが、何よりも結露がしにくいのが大きな特徴です。国産であり、製造エネルギーも極端に低く、安心できる成分なのでもっと普及してもいいと思います。木材製品の製造過程で、そのほとんどを産業廃棄物として処理されていたスギ樹皮を製品化し、資源を無駄なく使いきる、そんな願いを込めて、秋田の森をイメージし、フォレストボードと名づけられました。(株式会社白神フォレストコーポレーションより)

  • 吸放湿性があり、結露しにくい:湿気を吸ったり吐いたりする吸放湿性を持っているので、周囲の湿度を安定させ、またフォレストボードの繊維面での結露が生じにくくなります。
  • シロアリや腐れに強い:杉の樹皮がシロアリや腐れに強いということは経験的にもわかっていましたが、改めて実験を行った結果、それが確かなものであることが明らかになりました。
  • ホルムアルデヒドを吸着し、再放出しにくい:ホルムアルデヒドの吸着性に優れ、さらに吸着したホルムアルデヒドが再放出されにくいことが実験により明らかになっています。また、杉や桧の樹皮粉にはアンモニアなどの悪臭物質の消臭効果があることがわかっています。
  • 吸音性を持つ:一般的に内装下地材に使われている石膏ボードは音を反射しやすいという性質があります。中・高温域の吸音率が高いフォレストボードは、静かな室内の音環境を実現させる効果が期待できます。

パヴァテックス

パヴァテックス断熱材は、針葉樹の間伐材などの葉材や樹皮などを再利用して作られた、人にも環境にも優しい多機能な木質繊維断熱材です。パヴァテックス断熱材は天然資源である木材(有害物質の放散速度が極めて遅いモミとトウヒのみ)を使用し、難燃剤・防カビ剤・殺虫剤といった合成添加物を必要としない湿式製法で作られた純粋な有機素材による製品です。適切かつ安心な木材・製造方法、そして多くの事柄に配慮された断熱材であり、汚染のない良質な室内気候をつくります。厳選された木材が有する天然成分の効果により、室内に有害物質が排出されることはほとんどありません。その特性は次の通りです。(パヴァテックスジャパン株式会社より)

  • 熱伝導率が低いため、熱損失を大幅に抑制。暖房費を減らし、冬にも快適な暖かさをつくります。
  • 高い蓄熱性によって、熱を受け止めることができます。暑い日にも涼しい室内をつくります。
  • 高い密度と多孔質構造によって、騒音に対して効果的に働きます。静かな住環境をつくります。
  • 優れた燃焼特性と防耐火性によって火災に強い建築物をつくり、より高い安全性を支えます。
  • 高い透湿性・吸湿性があるため、湿気を拡散し、結露を防ぎ、心地いい室内環境をつくります。
  • 透湿性を活かしながら、気密性を与え、損傷を防ぐように調整された最適な設計を施しています。
  • 熱や冷気、騒音を遮断し、湿気による躯体損傷を防ぐことで、快適な室内気候を実現します。
  • 再生材料という資源を有効利用し、エネルギー使用量を抑えて、CO2排出削減に寄与します。

軽量軟質木質繊維の断熱材まとめ

軽量軟質木質繊維系の断熱材はチップ材・材木製材時の廃材・間伐材などを細かく繊維状に砕いたものをボード状に加工成型したものです。断熱性はもとより、吸放湿性・吸音性があり、シロアリや腐れに強く、消臭効果もあります。製造に有害な化学物質も使っていません。

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