断熱材はグラスウールやポリエチレン系が使われるのが一般的です。しかし、結露対策をしていない建物で、内部結露している壁にグラスウールやロックウールなど繊維系の断熱材を使った場合、断熱材が水分を吸い込んでビショビショになり、腐朽菌が繁殖したり、シロアリの被害の危険性を高めることがあります。リサイクル素材として古紙を使ったセルロースの断熱材も出ていますが、難燃剤が含まれているため、室内に揮発してくるとアレルギーを引き起こす可能性があります。使用する場所に注意し、密閉して施工するなどの配慮が必要です。安全な断熱材としては、炭化発砲コルク系、ウール(羊毛)、発砲ポリエチレン系、杉などの柔らかい木材、粗壁用の土や粘土と空気層がおすすめです。
ポリエステル繊維の断熱材
もともとポリエステルは、繊維として衣類のフリース、ふとん綿等で身近に利用されています。シート状のポリエステル(PET)はPETボトルや卵パックで良く見かけます。ポリエステル断熱材は回収されたペットボトルを主原料としておりリサイクル性に優れています。また原料の調達、生産も国内で輸送によるコストやエネルギー消費、CO2の排出が少なく、製造エネルギーも小さく、環境性に優れています。ポリエステル断熱材の熱伝導率は0.045W/m・K(最も一般的な断熱材の高性能グラスウール16kg/m³は0.038W/m・K)。他の繊維系断熱材は形状保持のため繊維同士を繋ぐために何らかの接着剤(バインダー)が利用されていますが、ポリエステルは熱により繊維同士を自己融着させているので接着剤を含みません。吸水性が低く透水性・速乾性に優れており、結露しにくい素材です。基本的に断熱材内側に防湿シートの施工が必要ですが、外部へ一定以上の透湿性をもたせるなどの条件を整えることで防湿シートは省略できるようです。自己消化性を有し、燃え広がり難い素材です。70℃以上で軟化し、融点である260℃で溶けはじめます。コストは、グラスウールと比較して2.0倍程度と比較的高価な断熱材です。まだまだ新しい断熱材で、あまり知られておらず普及していないのが高価な理由です。リサイクルの効率などを考えれば、普及すれば価格も安くなりそうな気はします。主な製品としては、パーフェクトバリアやパワーマックスなどがあります。
パーフェクトバリア
ポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)は、繊維化するとふとん綿やフリースなどの衣料に、またシート化すると、卵パックやペットボトルに変身します。パーフェクトバリアは、このペットボトルをリサイクルして再繊維化したポリエステル100%の断熱材。回収・再生を繰り返し行えることで、大切な資源やエネルギーの節約に貢献する、環境性に優れた断熱材です。「赤ちゃんがくるまっても安心」を目標に開発された商品。手触りがやさしく肌に触れてもグラスウールのようなチクチク感が無い。施工者にも安全な断熱材です。パーフェクトバリアは、再生ポリエステル繊維と、接着剤の代わりに低融点のポリエステル繊維を混入。これに200℃前後の熱を加える熱融着技術で2つの繊維を接着させます。これにより、有害物質の揮発もなく、水に濡れても乾けば元通りになります。地球環境にやさしいエコ素材!主原料が再生ポリエステルだから、石油原料からポリエステル繊維をつくる場合に比べ、使うエネルギーは約1/5。CO2排出量も抑え、地球温暖化に配慮するエコ素材です。
パーフェクトバリアの特性
- 断熱材が水分を吸収すると断熱性能は大き く低下します。パーフェクトバリアは、吸湿性がほとんどないから、壁体内の湿気をスムーズに排出し、断熱性能を維持しながら結露を防止します。
- 接着剤で固めた断熱材は、樹脂接着剤が長期使用により 劣化し、壁の中で垂れる場合があります。パーフェクトバリアは、接着剤を使わず熱で繊維の多くの交点を融着したパンタグラフのような構造。これにより素材に弾力性を生み、繊維の垂れを解消。施工時の形状を長期にわたり保持することで断熱性能の低下を防ぎます。
- グラスウールなど他の繊維系断熱材は、形状保持のため 繊維と繊維を繋ぐ接着剤(バインダー)を利用しています。パーフェクトバリアは、一切の接着剤を使わず生成します。だから、シックハウスの原因とされるホルムアルデヒドなどの 有害物質の放散がなく、健康で安心な暮らしを生み出します。
- パーフェクトバリアは、虫食害・発酵腐敗を防ぐ薬剤混入を必要としません。だから、これら防止薬剤による二次被害の心配もありません。安全性が高いことで、一般住宅のみならず教育施設・医療施設にも採用されています。
- タバコの火をのせても接点部分が溶けるだけ。発泡系断熱材のように、燃え広がると言った心配がありません。自己消火性があり万一の際も安心です!しかも、燃えても水と炭酸ガスに分解する だけですから、ダイオキシンやシアンガスなどの有毒ガス発生がありません。
- 空気の振動である音エネルギーを繊維がしっかり吸収。低音・高音域まで、気になる生活騒音を室外に漏らしません。車のエンジンルームに採用されるほど吸音性に優れています。
パワーマックス・パワードライ
ポリエステル断熱材のパワーマックス・パワードライは原料から施工後の安全性まで、すべてのシーンで環境と人体に安全であるよう考えられています。製造においても有害な化学物質を一切使用せず、わずかな熱、水、空気のみで製造されているので、環境に対してもやさしい断熱材です。 撥水材や化学接着剤などの環境や人体に有害なものは使用せず、手で直接触ってもポリエステルだからチクチクしません。また空気中に舞って滞在してしまう飛散の心配もありません。 3D編込製法によって、カッターなどを使用することなく、誰でも簡単に手で裂くことができます。そのためヒートロスの最大の原因であるサッシュ周りなどの細かい箇所にも簡単に施工することができるため、冷暖房効率の良い家にすることができます。 手で直接触ってもチクチクすることはないため、壁や天井など素早く安心して施工いただけます。独自の技術である「VFSystem」によって、広範囲の水蒸気を強く移動させることができるため、壁内に閉じ込められた断熱材に湿気が留まってしまい壁内結露してしまう現象を抑制することができます。壁内結露は住宅の寿命を大きく縮めてしまう要因です。「VFSystem」は常に湿気を動かし続けるため、壁内結露や結露によるカビの発生を予防し、施工当初のままの断熱性能を発揮し続けます。
ポリエステル繊維の断熱材まとめ
ポリエステル断熱材は回収されたペットボトルを主原料としておりリサイクル性に優れています。熱伝導率は0.045W/m・K、一切の接着剤を使わず生成し、吸水性が低く透水性・速乾性に優れており、結露しにくい素材です。製品はパーフェクトバリアやパワーマックスなど。
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