家づくりで健康住宅を目指すために森林認証制度の木材を購入しよう!

家づくりで自然住宅や健康住宅を目指すのであれば、なるべく近くの森で採れた木材を使いたいものです。しかし日本の森林の多くは外材に押され売れないために手入れができず、伐採もされずに放置されています。森林を適正な状態に戻すために、森林を適切に管理して環境を整え、住宅に国産材を使うことで、山への資金を循環させることが必要です。地域の消費者と工務店や製材所などの住宅の送り手側が、木材の流通や森林の将来について考えるべきだと思います。つまり使用する側が天然乾燥材を求めて、適正な価格で購入すれば、製材する側に材木のストックができ、我々も良材を手にすることができます。



森林認証制度

林業業界では『森林認証制度』というものがあり、欧米を中心に世界中に拡がっています。森林認証制度は第三者機関が環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われている森林または経営組織などを認証し、適正に管理された認証森林から生産される木材等を生産・流通・加工工程でラベルを付すなどし て分別し、表示管理することにより、消費者の選択的な購入を通じて持続的な森林経営を支援する仕組みです。 これにより、森林・林業の成長産業化に寄与し、地域振興や資源循環型の社会の実現を目指すことができます。森林認証制度では「森林」自体への認証(Forest Management:FM認証)とは別に、加工・流通過程においても認証(Chain of Custody:COC認証)があります。ラベリングした木材・木材製品の流通のために、流通に関わる者は消費者の手元に届くまでの各段階において、認証された森林からの木材・木材製品をそれ以外のものとは区別して取り扱う体制になっていることを認証されることが必要です。製材された認証材を購入する場合、COC認証を取得している製材会社や流通業者から購入する必要があります。

森林認証制度には、いくつか種類がありますが、国際認証としては1993年に自然保護団体を中心にドイツで創設されたFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)と1999年に欧州で始まったPEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes:PEFC評議会)の二つの制度が国際的に普及しています。また、2003年にスタートした日本のSGEC(Sustainable Green Ecosystem Council:『緑の循環』認証会議:人工林が多く、小規模・零細な所有が多い日本の実情に対応)という独自認証制度があります。(※PEFCとSGECは2016年より相互認証が可能となりました)持続可能な森林経営を行っている森林かどうかの基準・指標は、制度ごとに異なる部分がありますが、共通する項目としては、合法性・政策・制度枠組への遵守、森林の生産力の維持・向上、森林の環境便益の維持・向上、生物多様性の維持・向上、社会経済機能の維持・向上などがあります。

FSC
環境団体、林業者、木材取引企業、先住民団体、地域林業組合などの代表者から構成される団体で、1993年にWWF(世界自然保護基金)を中心に設立。森林認証制度の運用主体の草分け的存在。環境影響や地域社会、先住民族の権利などを含む10原則56基準に沿って、FSCが認定した認証機関が審査を実施することになっています。最近では、国や地域の状況にある程度合わせた国別基準や小規模経営者向けの審査手順など、多様な森林や所有者をカバーできるしくみができています。2011年11月現在、認証面積は全世界で1億4,783万ha(80カ国、1,078カ所)、COC認証件数は、世界106カ国、21,879件。

PEFC
欧州11カ国の林業団体が、各国の制度を相互承認する組織として1999年に設立。個別の森林管理についてPEFCが直接認証するのではなく、149カ国が集まって策定された「政府間プロセス」という基準を採用しているPEFCの規格要求を満たしているとPEFCが認めた場合、その国独自の森林認証制度をPEFCが承認する制度。2003年に非ヨーロッパ諸国の参加もあり、旧名(Pan European Forest Certification Schemes)から「PEFC森林認証プログラム」(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes)に改称して以降、急速に拡大し、認証面積では世界最大となっています。2011年11月末現在、PEFCへの参加は36カ国の37制度に達し、相互承認を得た森林認証制度による認証済森林の総面積は2億3,823万ヘクタール、相互承認を得たCoC認証は8,680件。

SGEC
日本の林業団体、環境 NGO 等により発足(2003 年)。人工林のウェイトが高いことや零細な森林所有者が多いこ と等我が国の実情に応じた制度を創設。本部は東京 。PEFC との相互承認。(成立 2016 年 6 月) 認証森林は、約 1,920 千 ha 。CoC 管理事業体の認定は 671 件 (認証件数は 2019 年 3 月時点)。

森林認証品の調達

日本では『紙製品』の方で森林認証品が普及しています。ティシュペーパーや化粧品やお菓子のパッケージなどの消費者に近い製品でも採用が拡がっていますし、花王、キリン、スターバックスなどの大手が紙製品の調達をFSC森林認証紙にするという宣言をしました。しかし最近は木材の方も東京オリンピックにおける会場等で使用されることになり、目下注目キーワードになっています。特に公共物件や非住宅建築物(店舗など)では採用事例も増えているので今後の普及が期待されています。しかしまだまだ木材業界では認証材の流通分野で認証が切れてしまい、認証材を手配しづらいという側面がありますので、直販が可能な製材会社さんから直接購入するのがおすすめです。木の値段は、木が生産される場所や時期、森の手入れの状態や生産者などにより異なります。「役物」といわれる良質な材などは高値で取引されています。一般的な構造材に使われる木材については、産地不明な最低価格の材と比べた場合、2~3割くらい高いようです。しかし、構造材費は、建築費の10%にも満たないのが一般的です。建築費全体とすれば3%程度の差となります。嘘のない良質の木材を購入することが自然住宅や健康住宅につながります。

森林認証制度まとめ

家づくりで自然住宅や健康住宅を目指すのであれば、近くの森で採れた木材を使いたいものです。林業業界では『森林認証制度』があり、欧米を中心に世界中に拡がっています。認証材を購入する場合、COC認証を取得している製材会社さんから直接購入するのがおすすめです。

参考:健康な住まいを手に入れる本
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