床・フローリングに近くの森林認証制度に基づいたヒノキを使いたい!

床・フローリングには、国産材のスギやヒノキ、外国材の米松やパインなどの針葉樹が適しています。調湿機能に優れ、床下や基礎のコンクリートの湿気をとってくれるからです。しかし床下の湿度調節が安定していない住宅の1階の床については、シロアリが発生した際の被害を最小限に防ぐため、シロアリに弱い米ツガ・米松・パインを使うのは避けた方がいいようです。また外国産の木材でも米スギや米ヒバはシロアリに強いですが、アレルギーを起こしやすい欠点があります。

床・フローリングに使用する木材の選定で前にオーク材かパイン材がいいと考えましたが、住んでいる地域で森林認証制度に基づく国産材を使用した方がいいと思い直しました。となると国産材のスギかヒノキということになりますが、天然素材でもアレルギーを起こす可能性を考えて排除してきました。ヒノキのついては丸太の端切れをいただいて家に置いていたところ家族も特に問題なさそうだったので、自分の家にはヒノキがいいと今は思っています。



ヒノキ(檜)

ヒノキ(檜)は古くから尊い木とされ、法隆寺や正倉院といった歴史ある建築物にも使われている木です。ヒノキは伐採後に200年間強度を増していき、伐採時の120%ほどまで強度は上がります。その後長い年月をかけて非常に緩やかに強度は落ちていきますが、その低下具合は1000年で20%ほどです。1200年の時を経ても伐採時の強度と同程度に戻るだけなのです。現存する世界最古の五重塔として知られる法隆寺の塔は607年に建造されたもので、建築材としてヒノキが使われています。長期間強度を保ち続けるヒノキの特性が、このような歴史的建造物を支えているとも言えます。ヒノキは福島以南から屋久島までに広がり、スギと同じく代表的な針葉樹ですが、成長が遅い分スギよりも高価です。強度に優れるため、柱や土台などの構造材として使われることが多いです。ヒノキは張り上がったときに美しいものの、スギの1.5倍~2倍と値段が高くなります。厚さは、施工後に反ったり割れたりしにくい15mm以上を選ぶのが望ましいです。

ヒノキに由来する成分としては、ヒノキチオール・ヒノキオール・αカジノール・αピネンが知られ、4つの効果、抗菌効果・防虫効果・消臭効果・リラックス効果があります。ヒノキに含まれるαカジノールという成分からは、木材を腐らせる腐朽菌(ふきゅうきん)の繁殖を抑える効果が発見されました。αカジノールは抽出油に含まれる香り成分で、アロマオイルとしても利用されています。化粧品にも使われるヒノキチオールという成分も、ヒノキに由来して命名されたもので、抗菌作用を持ちますが、国内のヒノキには幹の一部に少量含まれるのみです。ヒノキチオールと似た名称の成分で、ヒノキオールがあります。こちらは国内のヒノキにも含まれる成分です。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)という、多くの抗生物質に耐性を持つ病原菌に殺菌作用があることが確認されています。ヒノキの成分にはダニやシロアリを防ぐ効果もあります。これはαカジノールの効果とされています。ヒノキ精油は複数の成分が悪臭の成分と化学反応することで分解し、さらにヒノキのいい香りでマスキングすることで臭いを消す効果があります。ヒノキの香りにはリラックス効果があることが報告されています。ヒノキに含まれる香り成分αピネンを吸入すると、副交感神経系が優位となり、生理的リラックスがもたらされることが実証されたのです。「檜舞台に立つ」という言葉は、歌舞伎や能の舞台がヒノキでできていたことからできた言葉で、人前で発表したり披露したりする晴れの場所のことをいいます。ヒノキが舞台の材料に使われていた狙いとして、抗菌・防虫効果と強度特性により長持ちすることがあったのはもちろんのことです。しかし、舞台に立つ人のリラックス効果まで促進していたとは、古代の日本人も驚いているかもしれません。

ヒノキのアレルギー

住宅の健康への悪影響で問題とされてきたのは、有害な化学物質でした。従って健康な住環境を実現するポイントは天然素材を使うことだと考えられています。しかし、天然素材だからといって、必ずしも安全だとは限りません。人によってはアレルギー反応を起こすし、中には有害性があるものも存在しています。うるし、ヒバ、米杉、キク科の植物から出る菊油、ヒバ油、香りでストレスをやわらげるアロマセラピーに使われるハーブオイルの一部、テレピン油(松の油)などは、その代表格です。建築家や工務店が「自然のもの、天然のものだから大丈夫ですよ」と言っても、アレルギーや化学物質過敏症の人には必ずしも安全とは言えません。ですから素材選びには十分注意しないといけません。もし問題が発生した場合には、その素材をすべて取り除かないといけません。無垢材(ヒノキ・スギ)などに含まれる抽出成分のピネン、リモネンなどテルペン類は揮発性の芳香族有機化合物。特にピネン、リモネンは粘膜刺激があるため、WHOの住宅室内空気汚染物質としての規制対象になっています。ヒノキチオールは正式名トロポロン。非ベンゼン系とはいえ、れっきとした芳香族有機化合物。一般的に言って芳香族有機化合物の特長としてアレルゲンとなり得ます。ですからヒノキもアレルギーを起こす可能性のある天然素材に該当します。ヒノキのアレルギーがなくても使う量が多い場合にアレルギーになる場合もあるので、あまり同じ木材をたくさん使い過ぎないように注意は必要だと思います。

床の天然塗料

床・フローリングには化学合成塗料をまったく塗っていないムク材でかつ化学薬品を含侵していないものが絶対です。針葉樹系のムク材は塗装しないままでも耐久性に問題はありません。しかし、塗装しない場合、手垢などの汚れが付きやすいのが欠点です。またムク材は柔らかく、傷が付きやすいものです。汚れや傷が付くのを気にする人は、天然系塗料を自分で塗るとよいと思います。この塗料は酸素にふれると硬くなって、フローリングの表面を保護してくれます。また、木材の中まで染み込まないので調湿機能が残る天然系塗料を使い、その上に、蜜蜂の巣から作る蜜ろうワックスを塗るという方法もあります。蜜蜂の防腐作用は古くから知られ、エジプトではミイラや壁画の保存に利用されてきました。ムク材でも、合成樹脂系の塗料が塗ってある場合があります。選ばないようにすることが賢明です。

床・フローリングにヒノキまとめ

床・フローリングには住んでいる地域の森林認証制度に基づくヒノキを使用したい。ヒノキは長期間強度を保ち続け、抗菌効果・防虫効果・消臭効果・リラックス効果があります。しかしヒノキもアレルギーを起こす可能性のある天然素材に該当するので注意が必要です。

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