リビングや部屋にエアコンを付けるか付けないかは別として、付けないまでもその準備はしておくべきです。従ってエアコンを付ける場合の位置を決めておくことが必要があります。エアコンを取り付ける時、必要な物は主に2つあります。エアコンと室外機を繋ぐダクトを通すための開口と、電源です。普通はエアコンが付く場所にエアコン電源用のコンセント設置するのと、ダクトが通る開口をつくってフタをしておきます。電源は家が完成してから引いてくるのは大変ですし、ダクトは家が完成してから穴をあけると家の性能が落ちてしまうので、家の工事中にエアコンの対応をしておくことが必要です。またエアコンは家が完成してから付ける場所を変えるのは、工事も大掛かりになりやすいですし、何より家の性能を落とすことに繋がってしまいます。間違っても、家が出来てからエアコンの場所を変えるのは避けるべきです。そのため、エアコンの配置計画を家が着工する前にしっかり考えておくのが重要になります。
エアコンの位置
エアコンは冷房時の風は水平に吹き出し、暖房時の風は真下に吹き下ろすのが、もっとも効率的に冷暖房できます。冬の暖房ではエアコンの真下では41℃前後という非常に暑い空気を吹き付けています。天井埋込型エアコンは位置的に部屋の中心がいいのですが、暖気は真下に吹き下ろすことを考えれば、人の座る真上にならないように配置を考えることが必要です。壁掛けエアコンでは、エアコンの真下に机やベッドを置くと、冬の暖房時にいやな風がまともに吹き付けます。エアコンの配置は、冬のエアコンからの下向きの風が人に直接当たらないように配慮が必要です。次にエアコンの風は直進します。スイング機能は、左右45°程度までしか効きません。そして一般的なエアコンの風の到達距離(最大)は7~8m程度と言われています。大きな部屋のエアコンの配置を考えるときは、風の流れ(風向)を考えて配置することが基本的なポイントになってきます。以上から部屋の長手方向へ風が出るようにエアコンを取り付けるが正解です。長手方向に風が出るようにエアコンを取り付けることで、部屋全体に風が届きやすくなります。家の設計をする時は長手方向に向かってエアコンを計画するのが基本となります。
窓がある場所にエアコンを付けるとなると狭いスペースにエアコンを付けることになってしまいます。エアコンの高さは大体30㎝くらいの物が多く、さらには天井とは一定のスペースを開ける必要もあります。ましてや窓の上にカーテンレールが付くと、エアコンを付けるスペースが無くなってしまいます。そのため、窓の上にエアコンを取り付ける必要がある場合は、窓の高さやサイズを調整するか、あらかじめ天井の高さを少し上げておく必要があります。これは家が完成してからでは大工事になってしまうので、家の設計段階で対応しておきたいポイントです。普通の天井高さの部屋で、窓がある位置にエアコンを付けるのが難しいのが分かります。クローゼットの扉もエアコンを配置する時の要注意ポイントです。折れ戸が開く部分にエアコンを取り付けてしまうと、折れ戸がエアコンにぶつかってしまいます。実際に家が出来た時に折れ戸が開かなくなるのでエアコンが取り付けられないというトラブルが発生してしまいます。このようにエアコンは天井に近い位置に取り付ける必要があるので、部屋にある色んな物と干渉してしまう事がよくあるので注意が必要です。
エアコンで冷房するときも暖房するときも、エアコンからは風が吹いてきます。その風が不快という方は多いですし、風に常に当たっていると寒過ぎて風邪を引いてしまったりと、あまりいいことはありません。そのため、ソファやベッドの枕元などは、エアコンの風邪が直接当たらないようにエアコンを配置するのがポイントになってきます。また、エアコンの風というのは意外と強いこともあり、紙など軽い物を置いていると飛ばされることもあります。特に最近の高性能のエアコンは自動運転で温度を制御してくれますが、最初は一気に暖めたり冷やしたりするために自動で強風となることが多くあります。エアコンを付けるたびに紙が飛ばされないよう、書斎などにエアコンを取り付けるときは机に風が当たらないなどの工夫が必要です。
これは家ができるまでかなり気付きづらいのですが、ダウンライトや間接照明の明かりにエアコンの影が映り込んでしまうことがあります。特に壁を照らして雰囲気をつくる照明計画の場合、エアコンの影に入ってしまう可能性が高くなってしまいます。ダウンライトや間接照明をつくる場所は家の中でも見せ場となることが多いので、できるだけ近くにエアコンを持ってこないようにする必要があります。
エアコンの室外機の位置
エアコンの室外機の置き場について、室外機はある程度の大きさがある上に結構目立つので、基本的には道路側といった目立つ位置に持ってこないのが基本となります。また、配管も雨樋と同じように目立つ要素になるので、できるかぎり配管を短くしたり目立たせなくするのも重要です。そんな家の見た目に悪影響を及ぼしやすい室外機ですが、エアコンの性能は室外機が左右すると言っても過言ではありません。とりあえず目立たない場所に室外機を置いたけども、室外機の目の前に塀があったりするとエアコンの性能はかなり落ちてしまいます。そのため、家の見た目と室外機への影響を考慮しながら、室外機置き場を決める必要があります。特に狭小地では要注意と言えます。ちなみに、どうしても目立つ場所に室外機が来てしまうというケースも有り得ます。そんな時、絶対に室外機の場所を変えたい場合は、家の中に配管を通して目立たない場所へ落とすという方法もあります。道路側しか室外機が落とせなかったけども、家の目立たないところへ室外機を持ってくることも可能になります。この場合の注意点として、エアコンの配管は基本的にエアコンより高い場所には持って来れず、また、ゆるい下り勾配をつける必要もあります。そのためエアコンを付ける部屋の天井を高くしたり、勾配天井にすることでエアコンの取り付け位置をできるだけ高くして、できる限り天井裏に配管が納まるよう工夫する必要が出てきます。また、天井裏に隠す距離が長いと家電量販店などでエアコンを購入しても取り付けられない場合もあり建築工事と一緒にエアコンを取り付ける必要がある場合もあるので、この辺りの手間と室外機の場所、どちらを優先するかをよく考えてから家の中に配管を通すか決める必要があります。
エアコンの見栄え
エアコンは基本的に白い色が多いです。家の壁も基本は白のご家庭が多いので、普通はそんなに違和感なくエアコンを取り付けることができます。同じ白なので、エアコン存在感はあまり出てこないものです。一方、白い壁ではなくアクセント壁など色の濃い壁をつくることもあり、濃い壁にエアコンを取り付けないといけないというケースも。そんな時、白いエアコンは逆に目立ってしまって雰囲気が台無しになってしまうこともあります。このようにどうしても色の濃い壁にエアコンが付くという場合は、いっそのことエアコンの色を変えてあげるのもいいと思います。またエアコンを目立たせたくない場合、エアコンを隠すための収納をつくるという方法があります。格子状にして、その中にエアコンを収納、格子を通して風を送ると言う訳です。この方法を使うと、エアコンの存在感はかなり消すことができるので、エアコンを目立たせたくない場合はかなり有効です。エアコン収納単品だけでなく他の収納と組み合わせると、より目立たなくなるので造作家具として一体で考えるといいと思います。一方、エアコンを収納する場合の注意点としては、収納している分、やはりエアコンの空調効率は落ちてしまいます。そのため少しでも効率を上げるため、格子部分もただ四角い木にするのでは無く、少しでも風の抵抗を少なくするためにエアコン側は三角形にするなど、何かしら対策はとっておく必要があります。
エアコンは壁付けの他に、天井付けのエアコンというのもあります。お店やオフィスで天井付けのエアコンはよく見かけます。天井にエアコンを埋め込めるので、壁にエアコンを付けたくない場合は有効な方法です。エアコンを天井付けにするデメリットを挙げるとすると、価格が壁付けエアコンより高くなりやすいのと、風の当たる場所、当たりにくい場所は発生しやすいです。オフィスで寒い席と風がこない席があるのと同じです。エアコンを天井付けにする場合、このあたりのデメリットも考慮しながら決める必要があります。
エアコンの位置まとめ
エアコンの位置は家を設計する段階で決めておかないといけません。エアコンは部屋の長手方向へ風が出るように取り付け、他のものと干渉しないように注意して、風が直接当たらないような位置でなくてはいけません。室外機は家の見た目と効率が悪くならないように置きます。
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